PHP - WEB - 6. HTTPリクエストの実践
引き続きHTTPリクエストについて見ていきましょう。
一般的にWebブラウザから送信されるHTTPリクエストには、GETリクエストとPOSTリクエストに分類されます。リンクをクリックしたり、アドレスバーからURLを入力したり、お気に入りのページを開いたり、Webブラウザ上で行うほとんどの操作はGETリクエストを送信します。 その中で例外的に form
タグの method
属性に post
と指定して送信ボタン( <input type="submit">
)をクリックしたときはPOSTリクエストを送信します。
ただしJavaScriptを使う場合はGETリクエスト、POSTリクエストの送信を自由にカスタマイズできます。
PHPプログラムの開発(名前検索プログラム)
ここではGETリクエストを使った簡単な名前検索プログラムを作成します。まずは検索結果として画面に表示するデータを準備しましょう。テキストエディタを開いて次のファイル( names.txt
)を準備します。
Andy
Betty
Carol
Daniel
names.txt
ファイルは以前に作成したものを再利用します。
この4件のデータを対象に画面から入力された名前を照合するようにします。たとえば画面から「Andy」という名前が送信された場合は4人の名前の中から「Andy」だけが対象として出力されるようにします。また「a」のように名前の一部が送信された場合は、Carol、Danielの2人が対象として出力されるようにします。
続いて検索画面( search.html
)と検索キーワードを処理するプログラム( search.php
)を作成します。まずは検索画面( search.html
)から作成していきましょう。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Search</h3>
<hr>
<form action="search.php" method="get">
<input type="text" name="name">
<input type="submit" value="search">
</form>
</body>
</html>
このプログラムでは form
タグを使って検索キーワードを入力するフォームを定義しています。 form
タグの action
属性に search.php
、 method
属性に get
を指定します。また form
タグの中にはテキストボックスと送信ボタンを定義しています。テキストボックスの name
属性の値である name
はリクエストパラメータのキーになります。
続いて検索キーワードを処理するプログラム( search.php
)を作成しましょう。
<?php
$name = $_GET["name"];
$names = file("names.txt", FILE_IGNORE_NEW_LINES);
$searched_names = [];
if ($name !== "") {
for ($i = 0; $i < count($names); $i++) {
if (strpos($names[$i], $name) !== false) {
$searched_names[] = $names[$i];
}
}
}
?>
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Search</h3>
<hr>
<ul>
<?php
for ($i = 0; $i < count($searched_names); $i++) {
?>
<li><?php echo $searched_names[$i]; ?></li>
<?php
}
?>
</ul>
</body>
</html>
このプログラムでは先頭部分で $_GET
変数を使ってクエリパラメータの name
を取得しています。
$name = $_GET["name"];
この結果、 $name
変数 には画面で入力された名前が代入されます。
次に file
関数で names.txt
のレコードを配列に置き換えています。
$names = file("names.txt", FILE_IGNORE_NEW_LINES);
$names
変数には 配列データ ["Andy", "Betty", "Carol", "Daniel"]
が代入されます。
PHPプログラムの残りの部分も見てみましょう。
$searched_names = [];
if ($name !== "") {
for ($i = 0; $i < count($names); $i++) {
if (strpos($names[$i], $name) !== false) {
$searched_names[] = $names[$i];
}
}
}
このプログラムでは $searched_names
変数に初期値として空の配列データを代入しています。その後、 if
文で $name
変数が空文字でないことを確認した後、 for
文を使って $names
配列の要素を順に処理しています。 for
文の繰り返し処理においては strpos
関数を使って画面から入力された文字列データを含む名前を探しています。この結果、 $searched_names
配列には検索キーワードを含む名前だけが代入されるようになります。
strpos
関数は、文字列内の部分文字列が最初に現れる場所を見つけるための関数です。部分文字列が存在しない場合はfalse
を返します。 https://www.php.net/manual/ja/function.strpos.php
それではビルトインWebサーバを起動して実際にプログラムにアクセスしてみましょう。
$ php -S localhost:8000
続いてWebブラウザから search.html
にアクセスします。アドレスバーに以下のURLを入力します。
http://localhost:8000/search.html
表示された検索画面において Andy
と入力して送信ボタンをクリックしてみましょう。
そうすると次のような検索結果が表示されるでしょう。
ここではアドレスバーに表示されているURLについても注目してください。
http://localhost:8000/search.php?name=Andy
このようにGETリクエストの場合はこのようにURLの一部にリクエストパラメータが付与されます。
もう少し動作確認をしてみましょう。ブラウザの「戻る」ボタンを押して検索画面に戻り、次は名前に"a"と入力して送信ボタンをクリックしてみましょう。
そうすると次のような検索結果が表示されるでしょう。
アドレスバーに表示されているURLについても確認しておきましょう。
http://localhost:8000/search.php?name=a
画面から入力された名前「a」がURLの一部に含まれていることがわかります。
クエリパラメータの利用
GETリクエストで送信されるリクエストパラメータはURLの一部としてWebサーバに送信されます。このようなリクエストパラメータはクエリパラメータ、クエリストリングなどと呼びます。
このクエリパラメータは form
タグだけでなく a
タグに利用することもできます。たとえば次のような a
タグを考えてみましょう。
<a href="search.php?name=a">Search: a</a>
この a
タグは画面に表示すると「 Search: a
」というリンクが表示されますが、実際にクリックすると次のURLへのリクエストになります。
http://localhost:8000/search.php?name=a
上記のURLはよく見ると、さきほど「a」という名前で送信ボタンをクリックしたときのURLと同じです。つまり a
タグで作成するリンクにもクエリパラメータを指定することができるのです。
それでは実際にプログラムを作成してみましょう。さきほどの検索画面( search.html
)にクエリパラメータを送信するリンクを追加してみましょう。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>PHP Sample</title>
</head>
<body>
<h3>Search</h3>
<hr>
<form action="search.php" method="get">
<input type="text" name="name">
<input type="submit" value="search">
</form>
<a href="search.php?name=a">Search: a</>
</body>
</html>
ここでは form
タグの後に a
タグを追加しています。 a
タグの href
属性には search.php?name=a
としています。
プログラムの修正は以上です。ビルトインWebサーバが起動していることを確認してWebブラウザから検索画面にアクセスしてみましょう。
http://localhost:8000/search.html
表示された画面には「Search: a」というリンクが表示されているので、リンクをクリックしてみましょう。そうするとさきほどの検索結果と同じ内容が表示されるでしょう。
このようにGETリクエストのクエリパラメータはURLの一部として機能します。そのため a
タグの href
属性にもクエリパラメータを含むURLを指定することが可能です。このようにクエリパラメータの利点は再利用できるという点です。これまでに見てきたように、以下のURLは「a」という名前で検索した結果を意味します。
http://localhost:8000/search.php?name=a
それではアドレスバーから直接上記のURLを入力するとどうなるのでしょうか。実際に試してみると、検索画面から送信ボタンをクリックすることなく検索結果にアクセスできます。これはGETリクエスト(クエリパラメータ)の大きな特徴です。検索結果を表すURLが再利用できるので、たとえばお気に入りに登録することもできます。
一方、POSTリクエストで検索画面を実装した場合はリクエストパラメータはボディパートに格納されているためURLの一部に含まれません。そのためアドレスバーから直接URLを指定した場合もリクエストパラメータが不足してしまうため正しく動作しません。POSTリクエストは本来、Webサーバ上にリソースを作成する用途に利用するため、何度も繰り返しリクエストパラメータが送信できてしまうと問題になるケースが多いからです。
まとめ
- フォームの送信、リンクのクリック、アドレスバーの入力などでHTTPリクエストは発生する
- フォームのPOST送信時以外のリクエストは原則GETリクエストとなる
- リンクのURLにもクエリパラメータを付与できる